🔒PKI 公開鍵基盤

工程内容誰が実施?PKIの中の役割
証明書の発行利用者の公開鍵をCAが証明書にするCA(認証局)信頼できる第三者として
証明書の配布CAから利用者やサーバーへ証明書を送付するCA(認証局)証明書の流通・管理
証明書の提示通信時に相手に自分の証明書を提示する利用者やWebサーバなど通信相手に自分の証明書を提示
証明書の検証CAの署名が正しいか?有効期限は失効してないか?通信相手・クライアント相手が本物か確認する
信頼チェーンの確認そのCAを信頼できるか?ルートCAまでたどれる?ブラウザやOSに内蔵された信頼リストPKIの「信頼の連鎖」構築

🏛️認証局 CA : Certificate Authority

📜デジタル証明書

フィールド名説明
バージョン証明書のバージョン情報
シリアル番号証明書を一意に識別する番号
認証局の識別名証明書を発行したCAの識別名
有効期限証明書の有効期間(開始日〜終了日)
公開鍵所有者の識別名証明書の利用者の識別名
公開鍵利用者の公開鍵
証明書の署名アルゴリズム認証局が使った署名方式(例:SHA256withRSA)
フィールド名説明
バージョン証明書のバージョン情報
シリアル番号証明書を一意に識別する番号
認証局の識別名証明書を発行したCAの識別名
有効期限証明書を発行したCAの識別名
公開鍵所有者の識別名証明書の利用者の識別名
公開鍵利用者の公開鍵
証明書の署名アルゴリズム認証局が使った署名方式(例:SHA256withRSA)
認証局のデジタル署名← ここに追加された

📄失効リスト CRL:Certificate Revocation List

フィールド名説明
バージョンCRLのバージョン(現在はv2が主流)
発行者識別名このCRLを発行した認証局(CA)の識別名
発行日時CRLを発行した日時
次回更新日時次のCRLが発行される予定の日時
失効リスト失効した証明書の一覧(それぞれに「シリアル番号」「失効日時」などが含まれる)
署名アルゴリズムこのCRLに署名する際に使ったアルゴリズム
CAのデジタル署名CRLの本体をCAがハッシュ→秘密鍵で署名したもの(改ざん防止)

🕓OCSP:Online Certificate Status Protocol

💡PKIによる認証& 認証局の階層

メリット内容
セキュリティの分離ルートCAはオフラインにして保管 → 滅多に使わない
柔軟な運用中間CAを複数用意して、用途や会社ごとに分担できる
インシデント対応中間CAに問題があっても、ルートは無事 → すぐ入れ替え可能

🧱ルート証明書

ITの世界の「信頼」現実世界の「信頼」
OSやブラウザに内蔵されたルート証明書国や公共機関が「この身分証は正当です」と認めている
ルートCA(自己署名)国家が発行するパスポート
中間CA → サーバー証明書市役所で発行された住民票

🔗 誰が誰を保証してるの?

Apple / Microsoft / Mozilla(ブラウザやOS提供者)
↓ 信頼してる
ルートCA(自己署名、民間企業)
↓ 証明してる
中間CA(大手CAの子会社とか)
↓ 証明してる
Webサイトの証明書(httpsの証明書)
↓ 証明してる
ユーザー(「あ、このサイト安全だな」)
観点TLS(ルート証明書)ブロックチェーン
誰が証明?認証局(CA)とブラウザ/OS全ノード(分散合意)
信頼の仕組み信頼された第三者が階層的に証明自律的なルールと検証で合意
セキュリティの方向性「誰が署名したか」をチェック「改ざんできない記録」をチェック

🌎 信頼のしくみ:中央集権 vs 分散

中央集権型分散型
権威ある一箇所が保証複数の人・ノードが相互に検証
信頼は「上から」くる信頼は「ネットワークで合意」される
国・大企業・CA(認証局)ブロックチェーン・ピア同士の署名

🌎 影響のあった出来事 / Napster vs Metallica

時代サービスPoint1Point2
1999年頃NapsterP2Pで音楽ファイル(MP3)をユーザー同士が共有違法DLの温床にも → 訴訟
2000年代Kazaa, LimeWire などNapsterの後継的なP2P型ファイル共有ソフト著作権の問題を無視したサービスが乱立
2003年〜iTunes Store音楽を「購入」してDLする合法なサービスアップルが音楽業界に秩序を戻す
2008年〜Spotify音楽は“所有”から“ストリーミング”へ月額で聴き放題、正当な権利処理、合法的
項目NapsterSpotifyYouTube
仕組みP2P(分散)クライアント・サーバー(中央集権)クライアント・サーバー(中央集権)
配信者ユーザー全員が提供者(勝手に共有)提携した音楽提供者(レーベル等)誰でも配信可能(審査はある)
手続き勝手にファイル共有(著作権なし)正規契約の上で曲を公開利用規約に基づいて動画公開(審査後)
著作権無視されがちだった(違法)完全合法(ライセンス契約済)条件付き合法(削除されることも)
管理者実質的にはいなかったSpotify社Google社(YouTube)

🌎 影響のあった出来事 / Winny(ウィニー)

出来事反応など世界
2002Winny公開新技術として注目される
2003ウイルス事件等で注目セキュリティリスク拡大、報道過熱
2004金子勇氏逮捕技術者の逮捕が波紋を呼ぶP2P技術ベースのSkype正式リリース
2006第一審:有罪判決技術者の署名運動はじまるGoogle が YouTube を傘下に
2007初代iPhone発売
Netflixがストリーミング配信に移行
2008P2P利用の音楽配信Spotifyスタート
初期はクライアントサーバ型+P2P型のハイブリッド
2009二審で逆転無罪議論深まる
2011最高裁で 無罪確定正式に無罪、再評価の始まり
2012情報処理学会などで再評価の声「技術はどう評価すべきか」が問われ始める
2013金子勇氏、心筋梗塞で永眠(享年42)
2014Spotify:モバイル通信時代に入り、端末間通信(P2P)から完全なクライアントサーバ型に移行
2018情報処理学会から顕彰社会的な名誉回復へ